介護の現場ではハラスメントが起こりやすい現実があります。ハラスメントをするのは必ずしも上司ばかりではなく、要介護者から受けることもあります。例えば、罵声を浴びせられる、過度のサービスを要求される、胸に触られるなどのハラスメントは少なくありません。暴力を振るわれるなど過度のハラスメントを受けた場合は上司に相談する必要がありますが、ハラスメントの程度が軽度で多少なら我慢できるのであれば、スルーするという方法でも解決できることがあります。要介護者は介護職員に甘えたい、かまってほしいなどの感情があるのかもしれません。過度の干渉をすると、さらに要求が強くなっていく可能性があるため、過干渉は避けたほうが無難でしょう。
同じ現場で働いている介護職員であっても、ハラスメントを受けやすい人、受けにくい人がいるのが現実です。自分の意思をしっかりと持っており、嫌なことは嫌だとハッキリと言える介護職員はハラスメントを受けにくい傾向があります。この構図は学校におけるイジメとよく似ているでしょう。介護現場ではスルースキルが重要ですが、漠然とスルーをすればよいというわけではありません。何をされてもスルーをしていると、相手は何をしても反撃してこない介護職員だと認識し、さらに行動がエスカレートしていくケースがあります。最初のころはハラスメントは悪いことだと認識していても、それが習慣化すると感覚が麻痺してくるわけです。スルースキルを磨くことは大切ですが、スルーできる範疇を超えた場合は嫌だとハッキリと伝えるようにしましょう。