介護現場では、介護職員が要介護者からハラスメントを受ける場合もありますが、逆の場合もあります。介護職員がハラスメントを行ってしまうケースです。具体的には罵詈雑言を投げかけたり、相手の物品を隠すなどの行為はモラハラに該当します。介護現場では要介護者の介助を雑に行う、年齢や体の障害を口実に罵声を浴びせるなどの行為が主なモラハラです。また、近年では排泄や入浴の介助の際にわざと裸のまま放置して、その様を動画に撮影して拡散するなどの行為も増えています。介護の現場で要介護者に対するモラハラが横行する理由は仕事上のストレスの発散や、体を自由に動かせない弱者を嬲ることを楽しむ加虐趣味など様々です。モラハラがエスカレートすると要介護者への介助の放棄や医薬品の過剰投与など重大なトラブルに発展する危険があります。
モラハラは暴力行為が伴わないことが多いのでアザや傷などの目立った異常が無く、第三者が察知するのが困難です。また、被害者である要介護の高齢者が訴えても認知症や年寄りの被害妄想とあしらわれてしまうことも少なくありません。そのため、介護施設でのモラハラは事態が深刻化するまで発覚しにくい傾向があります。介護の現場でモラハラに遭わないためには要介護者の親族が常に注意することが重要になります。介護施設をこまめに訪れて状況を確認することによってモラハラの標的になるリスクを軽減させることが可能です。また、モラハラが横行している施設は利用者が委縮していることが多いので、施設全体をよく観察するのが事態を正しく察知する工夫です。